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近畿大学名誉教授 工学博士 児島忠倫

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第 3 章
流体力学 不足膨張超音速噴流 を駆使した

高性能・高機能繊維製造用 化学繊維ノズルの研究開発

最新メルトブローン法による不織布製造技術の研究開発

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溶解ポリマー(高分子材料)を過熱された空気などを超音速でノズルから噴出させると化学繊維が得られる。

このような方式で製造される化学繊維製品を作るための紡糸用ノズルや、メルトブローン用ノズルの研究開発を行う。

非常に小さな孔径のノズル出口部において生じる超音速噴流は、急膨張、急冷され、大気中に噴出されたポリマーは、非常に細い糸や不織布などとなる。

非常に細く、連続した不思議と切れ目のない非常に長い繊維は、その利用範囲は広い分野にわたっている。

使用する素材や製造方法により、厚みや密度の違い、手触りなど感触の異なる不織布が目的別に製造可能である。

したがって、用途は、衣服、医療品、化粧品、生活・日用品、土木、建築、農業、自動車など多種多様なあらゆる幅広い分野で使用されている。

素材はポリマーであるが、用途により、ポリエステル、ナイロン、アクリル、アセテート、ビニロン、ポリプロプレンなどが用いられている。

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繊維ノズルからの超音速流れ

メルトブローン法によるポリ繊維製品の製造技術

  
メルトブローンノズルからの不足膨張超音速流れのようす

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紡糸ノズル(Spinning Nozzle)の研究開発

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種々異形孔のノズルから高温溶融ポリマーを超音速で噴出させて、ストッキング、紳士服生地、衣料用品、カーペット系、産業用資材などの素材を製造する紡糸ノズルの研究開発。

ノズル孔形状の違いにより、種々異型断面の繊維を製造することができる。
ノズル孔形状は、Y字型形状、H型形状、W型形状、型形状、☆型形状など、ニーズにより無数の種々異型断面のノズルがある。
ポリエステル、ナイロン、アクリルアセテートなどを製造ノズルより超音速で噴出させ、用途別に繊維の製造が行われる。
柔軟性、
肌触りの異なる繊維をつくることができる。複雑なノズル形状の微細孔加工の設計、加工技術が繊維製品の性質に影響を及ぼす。

ノズルの設計には、上述した日本機械学会論文集 シングル噴流に関する「不足膨張噴流に関する研究」、複数の平行噴流や衝突噴流に関する「不足膨張噴流の干渉に関する研究」などの参考文献が有用である。これらの論文には、不足膨張超音速噴流に関する定常特性、非定常特性の流れ場の圧力分布、速度分布などの詳細な測定、解析結果が報告されている。

一般的に、複雑な断面をもつノズルほど高性能・高級感が得られる繊維をつくることができる。

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メルトブローンノズル(Melt Blown Nozzle)の研究開発

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メルトブローンノズルは、不織布を製造するためのノズルである。

原理的には、高温溶融ポリマーを高温高圧の空気をノズルから超音速で噴出させて製造する。不織布の製造に用いられるノズルにおいては、数μmの極微細なファイバーサイズの不織布の製造が可能である。

不織布の品質には、極微細孔のノズル形状やポリマーの粘度が影響する。

ノズルの設計には、基本的な圧縮性流体力学や超音速噴流の知識、ノズルから噴出する噴流の挙動や特性を知ることが重要である。特に、近接した多数のノズルが密集しているために、噴出するポリマーの干渉が品質に大きく影響を及ぼすと考えられる。

したがって、上述した「不足膨張噴流の干渉に関する研究」の文献などに記載されている、不足膨張超音速噴流の干渉特性が有用と思われる。

不織布は、自動車用吸音材、エアフィルター、食品用フィルター、紙おむつ、衛生ナプキン、マスク、手術着などの医療用品、巾着 ポリ袋、ポリエステル素材 風呂敷、養生シートなどの幅広い分野で使用されており、不足膨張超音速噴流 はこのような分野においても有用である。

また、メルトブローン法により製造される繊維は、極微細な繊維が得られるために、白血球除去フィルターとしても使用されている。

メルトブローン法による不織布製造は、上述した金属粉砕製造のコンファインド型ガスアトマイズ法と構造的に、また製品の製造過程においても類似している。

メルトブローン法では、高温のポリマーを高温高圧の超音速エアを用いてノズル出口部において、微細な紡糸を製造する。この時の超音速噴流は、不足膨張超音速噴流となることが重要である。

コンファインド型ガスアトマイズ法では、高温の金属溶湯を高温高圧のガスを用いてノズル出口部において、微細粒子形状の粉末を製造する。この時の超音速噴流も、不足膨張超音速噴流となることが重要である。

したがって、両者のノズルとも、ノズル出口部において不足膨張超音速噴流となることが重要であり、噴流の特性が製品の品質に大きな影響を及ぼす

 

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 続きは

 まとめ(おわりに) の章へ

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近畿大学名誉教授 工学博士 児 島 忠 倫
Dr.Tadatomo Kojima
Doctor of Engineering, Professor Emeritus of Kindai University
 
 
 

 

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